先週まで世界陸上が北京で開催されていました。
ジャマイカのウサイン・ボルトが100m・200mを連覇しましたね。
前回ほど、ぶっちぎりの優勝ではなかったのですが、それゆえにすごさを感じました。最近は、怪我などで満足に走れなかったようです。前評判は、アメリカのジャスティン・ガトリンが優勢だったにもかかわらず、100も200も譲らなかったのが、本当にすごい。 

全体成績でも、金メダル数はケニアに並んで1位、総メダル数も3位と強さを見せたジャマイカ勢でした。このジャマイカの陸上、その中でも短距離走に特化した強さは、実は最近の話なのです。
そして、その秘密は、実はウサイン・ボルト以外の選手にあるのです。

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人の才能を見抜く技術

MVPトラック・アンド・フィールド・クラブという陸上クラブの、スティーブン・フランシスというコーチがいます。実は、この陸上クラブ出身の選手がメダル獲得するようになってから、ジャマイカの獲得メダルが増えているのです。

このフランシスというコーチの人材発掘方法と育成方法が、実に合理的でありながら、これまでの教育の常識を覆すものなのです。

ボルトのすごさは、15歳の頃ジュニアのチャンピオンになった時点で、世界が注目していました。しかし、それは誰が見ても、将来性があるとわかるすごさだったそうです。
そうではなく、結果からは見えない、選手の将来性を探ることが重要なのです。これを「ささやく才能」と呼んでいます。

フランシスコーチが、実行したのは結果には見えない将来性を探ること。
一見平凡な結果に見える二人の選手がいたとします。一人は完璧な施設と優れたコーチの元練習してきた選手、もう一人は草むらで自主トレのみの選手。
練習環境がまったく違う二人が同じ結果を出していたら、環境が悪い選手の方が将来性があると考え、そういう選手に目をつけました。
その一人が、今回の世界陸上100m男子の決勝で、ボルトとともに走った、アサファ・パウエルです。

つまり、成績ではなく、その成績に行き着いた過程が重要、ということです。


選手が伸びる鍵は情熱

このMVPというクラブは、素晴らしい施設があるわけではなく、質素な草に覆われたフィールドがあるだけです。そこに初めて来た新人の反応で伸びるかどうかがわかるようです。
素晴らしい設備のトラックで練習をしたいのか、本当に世界一を目指そうとするのか。

選手に必要なのは、
明日のパフォーマンスを変えるために、今日何を学べるか?そのために何をしたいと思うのか?
という、昨日より今日、今日より明日、と日々進化し続けることへの願いを持っていること、そしてそれを実践できること。

フランシスコーチはこうも語ります。
“才能”という言葉を使うのは気が進まない。ほとんどの人は才能という言葉を、渇望や努力と結びつけて考えないからだ
もちろん、口だけの「気合入ってます」ではなく、目標を達成するまで、失敗しても時間がかかっても諦めず、やり切れる情熱、を意味します。


早期に身につけておきたい「根性基準」

これを「根性基準」という基準を作り、実際に研究している研究者もいるほど注目されています。「一度始めたら最後までやり通す力」などを測定するようです。この力がある人は、「すぐ目標を変える人」に比べて成功する可能性が明らかに高い、と。

「気合だー」って言っている、根性論だけではなんともならないでしょうが、こういう類の情熱が大切なのはアスリートだけではありません。
これは是非とも、小さいうちから身につけておかないといけない能力で、将来、どんな分野の職業についても、成功するには必要不可欠な能力です。


さらに言うと、もし今後大学受験などが、結果だけでなく過程を見られるようになると、偶然合格した人や、直前に時間をかけて努力した人には、マイナスに働くかもしれません。一過性の点を取る知識を詰め込んだテスト結果は、その人の本来の能力評価とは結びつきにくくなるからです。
「ささやく才能」は、幼児期からコツコツ身につけることで、徐々に身についていくものだと考えます。


これらの記述は、下記の本を参考にしました。

トップアスリート量産地に学ぶ 最高の人材を見いだす技術

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by ヨメレバ

去年、読んで2014年でもっとも感銘を受けた本の一冊です。
ボルトの連覇を機に久しぶりに紐解きましたが、やはり色あせず素晴らしい本だと思います。